どんなタスク管理の仕組みも、遅かれ早かれ同じ問いにぶつかります。繰り返しのタスク、いわゆる定期タスクをどう扱うか。月初めの請求書。半年ごとの浄水器のカートリッジ交換。確定申告、出張の準備、月末の締め。
多くのアプリは、ボタンで答えます。毎日、毎週、毎月の繰り返し。肩の荷が下りたように感じますが、それがひとりでに育っていく山の始まりになることも少なくありません。GTDの答えは違います。まず、それがどんな種類の繰り返しなのかを問います。毎週火曜に開かれる会議と、半年に一度くらい替えればいいカートリッジは別物です。そしてどちらも、毎月同じやり方でこなす、12の手順からなる作業とは違います。
自動にすると山ができる理由
自動の繰り返しは、日付が来た時点で次の回を作ります。前の回を終えたかどうかは関係ありません。
すべてが順調なうちは、気づきません。そこへ、立て込んだ一週間や、夏休みや、インフルエンザがやってきます。「植木に水をやる」は変わらず毎日、「週報を書く」は変わらず毎週金曜、「書類を整理する」は変わらず毎月1日にやってきます。アプリによっては、同じ項目がいくつも並んで見えます。あるいは、とうに過ぎた日付のついたものが一つ。どちらにしても、何も決めていないのにリストが増えています。
本当の害はそこにあります。リストの価値は、そこにあるものがどれも本物の約束だと信じられるかどうかで決まります。仕組みが代わりに積み上げた山は、その信頼を少しずつ削っていきます。半分は「また」出てきただけだとわかっているので、項目を読み飛ばすようになります。そうなると、大事な項目まで読み飛ばしてしまいます。日付で動くリストがこうしてつまずく理由は、タスク管理アプリが、本来つくられた目的でつまずくところで詳しく書いています。
自動化は、覚えておく手間を引き受けると約束します。実際には、覚えておく手間を、片づける手間に取り替えているだけです。次にいつやるかを一度決める代わりに、たまったものを毎週クリックして消していくことになります。
自動化がなければ、同じ夏休みも違って見えます。繰り返しのタスクは、どれもちょうど一つだけ存在します。次の回です。待たされても一つの項目のままで、七つにはなりません。戻ったらそれを済ませ、それから次はいつかを決めます。リストが増えるのは、自分が増やしたときだけです。
繰り返しのタスクの四つの種類
戻ってくるもののほとんどは、四つのどれかに収まります。それぞれに、GTDの中での置き場があります。
特定の日に結びついたもの。月曜の定例会議、火曜19時のジム、誕生日。これはカレンダーに入ります。
ある日付からまた出番が来るもの。請求書を送る、カートリッジを替える、更新の前に保険を比べる。決まった予定ではありませんが、そこからが出番という時点があります。これは備忘録ファイル(tickler file)に入ります。その日が来るまで物事を預けておく場所です。
いくつもの手順でできているもの。月末の締め、出張の持ち物リスト、新しい取引先との取引開始。これはチェックリストに置きます。
習慣。読書、運動、早めに寝ること。これは多くの人の予想に反して、そもそもタスクの仕組みには属しません。
特定の日に結びついたものは、カレンダーへ
David Allenは、カレンダーを「聖域」として扱うよう勧めています。そこに入るのは、その日、その時刻に本当に起きることだけです。繰り返す予定には、どのカレンダーにも繰り返しの機能があります。その機能が働くべきなのは、まさにここです。予定は、チェックを入れても入れなくても起きるからです。
tingdoを使っていても、カレンダーはこれまでどおりのカレンダーです。日付つきのタスクを予定と並べて見たいなら、Calendar Feed(日付つきのタスクをカレンダーに配信する機能)を購読します。そうすれば、どのみち毎日開くいつものカレンダーの中に、両方が並びます。
ある日付から戻ってくるものは、備忘録ファイルへ
備忘録ファイルは、43のフォルダの組です。31が月の日付、12が月。ある日にまた目にしたいものは、それに合うフォルダに入れておきます。毎朝その日のフォルダを空にすると、中に入っていたものがまたタスクになります。Getting Things Doneの中でも、もっとも地味で、もっとも役に立つ考え方の一つです。
フォルダより大事なのは、その考え方です。確かにしまわれていて、それでいて意味を持つときまでは目に入らないこと。11月にならないと関係のない保険の更新を、毎週読み飛ばす必要はありません。備忘録ファイルについていちばんよく聞かれる問い、カレンダーとどう違うのか、の答えもここにあります。カレンダーに入るのは、ある時刻に起きること。備忘録ファイルに入るのは、ある日から戻ってくるべきものです。
紙の備忘録ファイルでも、デジタルでも、働き方は同じです。変わるのはフォルダだけです。tingdoでは、Scheduled(日付つきのタスクの画面)がまさにこの役目を担います。日付のついたタスクは次にとるべき行動から外れていて、その日になると加わります。それまでは、これから来るものを見たいときにいつでも、Scheduledで順番に並んでいるのが見えます。
繰り返しのタスクにとって、これは次のことを意味します。一度に存在するのは、ちょうど一つの回だけ。次の回です。
- 次の回をタスクとして作り、日付をつけます。next bar(検索と入力と移動を兼ねた一つの入力欄)からでも、あとで編集画面からでもかまいません。
- その日までは、タスクは次にとるべき行動ではなく、Scheduledで待っています。
- その日になると、今できるほかのすべてと並んで、次にとるべき行動に加わります。
- 終えたら、今の状況に合う日付で次の回を作ります。あるいは、終えたタスクを開き直して、新しい日付をつけます。
Scheduledでは、こう見えます。
Scheduled
- 10月分の請求書を送る 日付: 11月2日
- 自動車保険の更新前に、ほかの見積もりと比べる 日付: 11月10日
- 浄水器のカートリッジを替える 日付: 3月15日
最後の手順には数秒かかります。そして、それは意図してのことです。何かを終えた瞬間は、次にいつやるべきかをいちばんよくわかっている瞬間だからです。カートリッジを替えたのが、予定より三週間遅かったとします。それなら次の日付は、古い予定からではなく、今日から数えます。ときには、そもそも戻ってくる必要がないと気づくこともあります。そのときは、新しい回を作りません。
手順の多いものは、チェックリストを資料に
繰り返しのタスクの中には、一つの手順ではなく、ひと続きの決まった作業になっているものがあります。月末の締めには10の項目があり、出張の準備には20あります。こうしたルーティンタスクには、Allenはチェックリストを勧めています。理由は単純です。毎回同じやり方でやることを、毎回考え直す必要はないからです。
その手順は、別々のタスクとしてリストに載せるものではありません。毎月現れる10の項目は、次にとるべき行動を壁に変えてしまいます。チェックリストは仕事ではなく、知識です。何かをどうやるかを教えてくれるものです。
tingdoでは、そうしたチェックリストはReference(資料)の中のメモになります。やるものではなく、調べるものの置き場です。
- next barで、
*の記号をつけたメモとして書き留めます。 - メモはMarkdownに対応しています。手順をチェックリストとして書き、進めながらメモの中でそのままチェックを入れていきます。説明するより見せたほうが早い手順には、スクリーンショットを添えます。
- 属する場所にしまいます。プロジェクトか、一つの成果ではなく続いている責任のためのものなら領域に。月末の締めは、いつか終わるプロジェクトではなく、お金の領域に属します。
- メモは行動のリストには入りません。名前の最初の数文字を打てば、next barから見つかります。
チェックリストをちょうどいいときに戻ってこさせるには、二つの方法があります。短いほうは、メモそのものに日付をつけることです。メモはScheduledで待ち、その日になると、タスクとまったく同じように次にとるべき行動に現れます。そのための別のタスクは要りません。もう一つは、「チェックリストを見ながら月末の締めをする」のような日付つきのタスクを作り、メモは純粋な資料として領域に置いておく方法です。一つのチェックリストをいくつもの場面で使うときは、こちらが合います。
月末のチェックリストは、たとえばこんな形です。
Reference · お金の領域 · 月末のチェックリスト
- 先月分の請求書を送る
- 未入金の請求を、口座の入出金明細と照らし合わせる
- 領収書を会計ソフトに取り込む
- 今月が住民税の納付月か確かめる
- サブスクを見直す(どれもまだ使っているか)
終わったらチェックを外し、メモに次の日付をつけます。すると翌月まで、Scheduledで静かに待っています。
本当の価値は、数か月たってから見えてきます。抜けている手順に気づくたびに、書き足していく。チェックリストは少しずつよくなり、決まった作業を頭の中で抱えておく必要がなくなります。仕組みの中で、使うたびに育っていく部分です。
領域ごとのメモ一つには、もう一つできることがあります。その領域で定期的に巡ってくるものの、短い一覧です。「お金: 月末の締め、住民税の納付(年4回)、3月の確定申告、秋の保険の更新」。上から片づけていくリストではありません。それぞれに次の回がScheduledで待っているかを確かめるための一覧です。
習慣は、タスクの仕組みの外に
一日10ページ読む、水を飲む、夜はスマホを置く。どれもよい心がけですが、次にとるべき行動ではありません。次にとるべき行動は、一度下す判断です。習慣は、いずれ判断しなくてもやるようになるものです。
毎日繰り返す項目は、タスクのリストに静かな副作用をもたらします。反射的にチェックを入れるか、反射的に先へ送るか。どちらも、リストを読み飛ばす癖をつけます。そして読み飛ばされるリストは、まさにそのためにあるものを失います。
習慣は、ほかの場所に置いたほうがうまくいきます。カレンダーの決まった枠に、習慣のためにつくられたアプリに、あるいは単に一日の流れそのものに。
安全網はレビュー
次の回を作るのを一度忘れても、かまいません。そのためにレビューがあります。
案内つきの週次レビューは、Scheduledも一緒にたどります。この先数週間のカレンダーにも目を通せば、これから何が来るかが見えて、足りないものはその場で足せます。領域のレビューでは、領域ごとに残しておいた一覧を読み、ここに抜けているものはないか、繰り返す約束のどれにも次の一歩が待っているかを確かめます。
これが、繰り返しのタスクに対するGTDの答えの核心です。代わりに覚えておいてくれる自動化ではなく、定期的に目を向けるリズムです。
tingdoが、あえて選んでいる引き換え
自動化は、暮らしが変わったあとも、ずっと繰り返し続けます。サブスクは解約した、プロジェクトは終わった、もうそのリズムは合わない。それでもタスクは戻ってきます。だからtingdoには、自動の繰り返しがありません。
一つの回を終えるたびに次を作るのは、少しだけ手間です。その代わり、リストには本当に今も選んでいるものだけが残り、知らないうちに何かが積み上がることはありません。
誰にでも合うわけではありません。毎日チェックを入れたい決まった日課がたくさんあるなら、繰り返しの機能を備えたアプリのほうがよい選択かもしれません。それは正直な引き換えで、正しいか間違っているかの問題ではありません。
戻ってくるそれ以外のものには、三つの場所があれば足ります。その日に起きることにはカレンダー、ある日付から戻ってくるものにはScheduled、毎回同じやり方でやることにはReference。これらの場所が方法全体の中でどうつながるかは、GTDの全体像にまとめています。